トークショー動画(東京)

■4月21日(日)小野耕世さん(映画評論家)vs 金子サトシ監督 トークショーの模様

『食卓の肖像』は被害者、とりわけ女性の強さとユーモアを描いている

この作品には、人間が生きていく基本的な姿が描かれている。

(カネミ油症事件は)企業の犯罪、国家の怠慢だが、(被害者は、裁判や交渉をしながらも)ずっと日常生活を生きていかなければならない。
その姿が明るさをともなって、生き生き描かれている。

そこには、女の人って強いんだなあという当たり前の感動があった。

女の人は周囲のことを丹念に毎日の生活を仕切りつつ、被害者で身体に障害があったりしながらも、私などより本当に生きようという気持ちで生きている。
その姿に無理はなく、男性も含む周囲の人たちを感化して、周囲の人たちのことを励ます姿が描かれている。こういう人たちがいて助けあって行くんだなということが、私には訴えて来た。

テーマとしては深刻だが、登場する人たちのユーモアを感じる。生活の様子やしゃべっている言葉にユーモアがある。そういうことは重大なことだと思う。

私自身が励まされる楽しさのようなものを感じた。
良い映画だった。

小野耕世さんのトークショーより

■4月23日(火)中内孝一さん(カネミ油症被害者) トークショーの模様

素朴で人の良い控えめな中内さんのトークに、会場は笑いがこぼれた。
カネミ油症の未認定被害者・中内孝一さんのトークショーの様子。

「今までは被害者集会などでは自分が出演した映画を観たことはあったが首都圏の大きな­スクリーンで観ると、なんとも複雑で恥ずかしいが、同時に感謝している。」

こんな話題から始まり、パンフレットに掲載された大きな写真に喜んだりする素朴でまっ­すぐな人柄に会場は笑顔がこぼれた。

胎児性患者(未認定被害者)の長い長い闘い。本当の悲しみ・怒りを持っている人はこういう顔を­するのだろうか。

お母さんの中内郁子さん(一世被害者)は、孝一さんを生むのに当たり、どれだけ悩み、­苦しみ、苦渋の決断の果てに決心をしたか。『食卓の肖像』で語られている。

「全部をあきらめて、もう関わりたくないと思っていた時に、支援センターからの呼びかけや『食卓の肖像』出演依頼が­あった。」

中内郁子さんは、身体に良いと宣伝していたカネミ油を食べただけである。それだけでな­ぜ、このような人生を歩まなければならないのか。孝一さんの静かな語りを訊いていた会­場には憤りがゆっくり感染していった。(文責・辻豊史)

追記・金子サトシ監督からメッセージがありました。(トークショーに立ち会えなかったため)
「本当は、中内孝一さんの場合、子どもの時からの様々な症状との闘いや、学校も中退して、いろいろと紆余曲折があったことなどの具体的な話があったら、より良かったかもしれません。」
「これは『食卓の肖像』でも、カットせざるを得なかった部分なのです・・。口唇口蓋裂で産まれたこと、飛行機に関わることだけを作品には入れられましたが、その部分は入れられなかったんです。しかし、本当は、中内孝一君についてなら、学校でいじめられたり、中退したりして、そこからどう立ち直って、今の彼に至っているのかということを語る必要があったのかも・・と思いました。」


『食卓の肖像』上映にあわせて、ゲストの方にケイズシネマにいらして頂き、上映後、トークイベントを行ないました。


過去のトークショー一覧
終了・4月6日(土)森元修一さん(映画監督、『大津波のあとに』)
終了・4月7日(日)中村梧郎さん(フォトジャーナリスト)
終了・4月13日(土)白石草さん(Our Planet-TV代表)
終了・4月21日(日)小野耕世さん(映画評論家)
終了・4月23日(火)中内孝一さん(カネミ油症被害者)
終了・4月27日(土)佐藤禮子さん(カネミ油症被害者支援センター共同代表)
終了・4月29日(祝)保田行雄さん(弁護士)
終了・5月3日(祝)(最終日)金子サトシ監督ティーチ・イン(観客からの質疑応答を受ける)